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-フェルはもしかすると物だったのかもしれない-3P
ゴンッ──。
「えっ?」
なにかがドアにぶつかるような鈍い音が響く。
僕は驚きつつもソーッと、なににぶつけてしまったのかと確認し、安堵の息を零した。
「った──」
「あっ、ごめん。ていうか、なんでそんなにドアに近いとこにいたの?」
ドアにぶつかったのはカルマンだった。
きっと僕の祈りが通じたんだと思うけど、カルマンは鼻面を玄関のドアに強打したらしい。鼻を押さえ怒声を僕にぶつける。
だけどこの声はそんなに怒っていないことを僕は理解している。
だからあえて適当な謝罪で終わらせ、ドアの近くにいた理由を確認した。
「おまえ、最近俺の扱いが雑になっていないか!? っと……理由だよな……理由はまだ予定の時間よりも早かったしと思ってだな……」
そう言いながらカルマンはブツクサと小言を漏らす。
そんなことを言われたところで僕が悪いわけじゃないし! カルマンがそこにいたから悪い! 僕、悪くないもん! そんな感じで開き直り、