076-フェルはもしかすると物だったのかもしれない-1P
タナストシアという連中と出くわしてから少し経ったある日のこと。
この日はカルマンが、なにか僕に用事があるとのことで、珍しく事前に行くと伝えられていた。
にも拘わらず、ヘレナがまた急に僕の家に来た。
タナストシアと対戦することになった日もそうだったけど、急に来るの辞めてくれない!? 僕はそう思いながら、
「だーかーら! 事前に来る日を教えてってば!」
そう語気を強めた。
だけどヘレナは僕の注意に対し、
「別にいいじゃない! どうせリーウィンは暇なんだし!」
そんな屁理屈を並べ口を尖らせる。
口を尖らせても、ダメなものはダメ! そう言っても拉致があかない。
本当にヘレナは……。
そう思いながら大きな溜め息をひとつ。
そんな僕の鬱々とした気持ちは汲み取らず、ヘレナは
「あ、それはそうとねぇ、リーウィン? 魂喰いって聞いたことあるかしら?」
とかなんとか言い始めた。
また始まったよ、ヘレナのなんの脈絡もない噂話。
どうして事前に来ることを伝えて! からこの話になるのか。なんて、僕は頭を抱えながら溜め息ふたつ。
「知らないよ。それがどうしたの?」
「なんか最近、巷で噂になっているらしいのよね。なんでも──」
「へぇ〜」