-ヘレナの意外な趣味-〔後編〕2P
そんな思考を過ぎらせていたけど、
「じゃあ撃つわよ」
ヘレナのその声で僕は、ハッと我に返り、距離を取った。
ドーンッ──。
僕が安全圏に入るや否や、ヘレナは肩にミサイルランチャーを担ぎ、トリガーに手をかけ、木に向かってミサイル弾を撃ち込んだ。
ミサイルランチャーの弾丸は以前、僕が山を半壊させた程の威力に上がり、一面の木々をなぎ倒しながら、爆発する。
だけど昨夜と違って、火柱が立つことはなかった。
威力も気になるところだけど……それよりも、
「ねぇ、ヘレナ? どうして今回は燃えないの?」
僕は一番、疑問に思ったことを素直に聞いた。
「そりゃあだって、元々ミサイルランチャーの弾丸には、そんな仕様ないもの?」
なに、可笑しなことを言っているの? そう言いたげな顔をしながら、ヘレナはまた目をぱちくりとさせた。
「えっ、でもタナストシアと遭遇した時──」
僕はあの時はどうして火が登ったのか? 困惑しながらヘレナをまじまじと見続ける。
「だから試したいことあるって言ったでしょ?」
ヘレナはそう言い悪戯げに笑った。
そして、その笑みでようやく、なにに対しての〔試したい〕なのか理解し、
「えー! 試したいことって、ミサイルランチャーを撃ち込むことじゃなくてそっちなの!?」
なんてびっくりしながら、ヘレナに教えてもらった単語を早速使った。
こういう所をマメにすることで、ヘレナの不機嫌を回避できるんだ!