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ヘレナの意外な趣味-1P
自室に戻り、ふと昨夜のタナストシアとの戦闘を思い出した。
どこか鉄カビ臭い香り。それに反するような、甘ったるく鼻を突き刺す臭いを漂わせていたタナストシア。
アレは、成れの果てが発していた匂いと似ていた気が……。いや、そんなまさかね……。
僕は首をブンブンと横に振り、刃を交えた時のことを思い返す。
僕たちに仕掛けてきた攻撃は、素人のソレではなかった。間合いの取り方も、詰め方も全て僕とは違い、戦闘経験者そのモノだった。
ヘレナがいなければ、僕の人生はあそこでジ・エンドだったかもしれない。
そんなたらればを考えたとたん、背筋がゾッと寒くなり、恐怖が僕を支配し始める。
「そういえばヘレナが昨夜タナストシアに撃った銃ってさ……」