-とある日のファントムハウス-8P
えっ、いつ? そんな疑問で脳内を埋め尽くしていた。
だが、あの日のことなど寝ぼけていたこともあってか、全く思い出せない。その紙には目的地までの地図と、時刻のみが記されており、それ以上の情報はなにも判らない。
リーウィンは首を傾げながらも、行くしかないのかな? そう胸に落とすのだった。そんなリーウィンの態度にフェルは、なんか面白いことが起こりそうガウ! そんな直感が働いたらしい。
「おまえ、明日どこ行くガウ?」
「判んないけど、筆跡からしてカルマンに呼ばれたって感じだと思うけど……?」
「あのデクノボウかガウ! 着いて行ってやろうかガウ?」
などと言い始める。
「いや、別に来なくていいよ?」
が、リーウィンはその申し出を一蹴した。彼の中では、どうせフェルのことだ。問題を起こすに違いない! だけど、それを言えば逆に着いてくるから、ここは適当にあしらっておこういう考えがあってのこと。
だがこういう時に限ってフェルの鼻は利く。フェルは、リーウィンの話などちっとも聞かず、
「しょうがないガウ〜。そんなに言うなら着いて行ってやるガウ!」
なんて、勝手に着いて行く宣言をし、その夜は就寝したのだった。まあどうせ、当日になったらやっぱり行かないと言い出すとリーウィンは思っていたから気にも留めなかったのだが……
しかし、フェルは当日になっても行かないとは言わず……。リーウィンは不安を抱えながらも、
「兄さん行ってくるね!」
そう、ガラス面が割れ、姿さえも認識できない兄と、少しだけヒビが伝染している母と自分が映る写真に声をかけ、目的地へと向かった──