-フェルの異変-7P
僕はそんな呆れを覚えながらも
「なんでそうなったのか心当たりは?」
そう確認してみた。
だけど、フェルは
「ないガウ!」
そう元気に答えるのみ。心当たりもないのに毛の色が変わるとかあるのかな? そう思いながらも、そういえば僕も昨日かなり取り乱したよな〜なんて思い出した、変なところだけ性格が似ているのかな? なんて感心する。
そんな感心は一旦、置いといて、
「影の中で眠る直前、どんな感じだった?」
念の為、色々と確認していく。
でも、フェルはなにを聞いても
「覚えてないガウ!」
誇らしげな顔をして、威張りながらそう答えるのみ。
別に、威張ることでもないんだけど……。なんて、内心でそんなツッコミを入れながらも僕はその発言を流し、
「魂を守護するモノって換毛期があったりする?」
冗談交じりにフェルに聞いてみた。
でも、フェルはそもそも換毛期という言葉を知らなかったらしい。キョトンと、小首を傾げ、
「かん……そーき……? なんガウか?」
間抜け面でよく判らない聞き間違いをする。
かんそーきってなんだろ? そんなことを一瞬、考えながらもフェル自身、毛が抜かわることを知らないなら本当に換毛期はなさそうだな〜。どうしてそんなことが起こったんだろう? まあ考えても判んないことだし──。僕は、フェルとたわいもないやり取りをしながら、フェルが見たという夢の内容についてもう一度、真剣に考えてみた。
フェルの言動どこか黒い獣と似ているよね? 『オレサマ』と言ったりマイペースだったり……。白い獣とは……あんまり似ていないけど、ちょっと抜けたところは似ているのかな? でもあんなに友好的な感じでもないし……。
うーん……。フェルとあの二匹の獣になんらかしらの関係性があるのかな? ないのかな?
いや──あったら困るんだけど……。まぁ……、ないでしょう! これはただの偶然だ。きっとそう! 僕は現実逃避するように、この件を心の奥深くへ封印した──。