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-死に至る病、それは――-12P
ヤダ。そんなの嫌だよ! 死なないで! こんな形でさよならなんて、絶対に嫌だ! 僕を殺そうとしたくせに、勝手に死ぬなんて許さない!
そんな気持ちが水のように湧き上がり、怒りなんかが生まれていく。
だけど──。今はそんな泣き言や文句を言っている場合じゃない。そんなことを考えたって意味がない。
じゃあ今の僕になにができる?
今の僕にはなにもできない……。
……………………うんん、できることは……一つだけある。
もしこの気枯れが最初から発症していたとすれば?
カルマンの傷を治した時に、白い光が消えることがなかった。
白い光は、死ぬ運命にある人物の怪我も、病気も治してはくれない。だけど、その運命にない人間の怪我なんかは治せる。
一筋の光を手繰り寄せるようなものだけど……。一か八か僕はカルマンの体にそっと手をかざした。