-死に至る病、それは――-8P
僕は簡単に押し倒され、黒光りする鎌の先端が僕の首を捕え……。
──やばい、殺される。
そんな恐怖に支配されそうになった刹那、『やっぱりおまえはまだまだだな。みてられない』そんな声が脳内に響き、勝手に体が動き始める。
カルマンの鳩尾を蹴りあげ、ロザルトの花びらでできた天井まで勢いよく飛ばす。
花びらのイメージとは裏腹に、ドーンッと重たい音が響き渡り、カルマンは血反吐を吐きながらも、猫のように体を整え、華麗に着地する。
僕に、こんな力が……?
そんな驚きを覚える間もなく、体はそのまま自分の意思を無視してカルマンに猛攻を加え続ける。
ボロボロのカルマンに、体を制御できない僕。
まるで、僕じゃない僕がカルマンと闘っているかのように、目だけが僕の情報源でしかない。
なにもできないもどかしさ、体が制御できないせいでカルマンを殺してしまうんじゃないかという恐怖。
止まって、お願い止まって! ねえ、止まってよ……止まれ──! そう必死に叫んでも声は封じられ、音にならずに消えていく。
恐怖や不安が全身を駆け巡り、心臓が早鐘を打ち続ける。だけど止まらない、止まれない。どうして僕の意志とは裏腹に動き続けるの!?
そんな絶望感の中、傷だらけのカルマンが一瞬よろける。きっと本能が動き続けようとしているだけで、体は既に限界なんだと思う。
──これが、最後のチャンスかもしれない。
そう思った瞬間、再び体が勝手に動き始め、俊敏な動きでカルマンの懐へ。