-死に至る病、それは――-3P
それぞれの花びらが揺れるたび、息づいているように見える。ううん。もしかしたら、僕の覚悟を試しているのかも……。
そう思いながら、ふと蛇腹剣の中心付近に視線を向ける。すると、そこにはぽっかりと、なにかつけ忘れたような隙間が。それは、まるで僕の心の中にある空白を映し出しているみたいで──。
カルマンを助けたい。だけど僕になにができる? そんな不安や恐怖がこの隙間を創り出したんだと思う。
そんな気持ちのまま蛇腹剣を見つめる。だけど、この蛇腹剣なら、カルマンを助けることができる! そんな気持ちには一切ならない。見れば見るほどに僕に相応しくない。
そもそも、使い方なんて全然解らないし見当もつかない。それに、戦闘経験なんてない僕に上手く扱えると思う? そんな不安や恐怖が胸の奥からじわじわと広がり、僕の気持ちを揺さぶりかける。
そんな弱音にあてられ、きっと無理だ、僕にこの武器は不相応すぎる……。そんな気持ちでいっぱいになっていると、
『大丈夫。今の僕は、きっとカルマンより強いよ?』
別の僕がそっと背中を押し始める。
(僕、戦ったことなんてほとんどないよ?)
『大丈夫、僕が大丈夫って言っているんだよ? 自分を信じないで誰を信じるの? カルマン? ヘレナ? それともルフーラやクルト? 皆、他人だよ? それに頼りになるカルマンは今この状態。ヘレナ達もいない。そんな中で信じれるモノを信じるしかないんじゃない?』
自分とそんな対話を続ける。もう一人の僕が言っていることはただの理想論で、もしかしたら現実逃避なのかもしれない。心地よく響くその言葉も、裏を返せばまやかしでしかない。
でも、今はそのまやかしにすがりつくしかない。