-見えない力、自分を信じて-14P
大きな欠伸をし、まるで全てがどうでもよくなったかのように体を丸めて眠ろうとしていた。
なんというか、フェルみたいにマイペースだな……。僕はそんな呆れを覚えつつも、好機は今しかない! もしかすると、こんなチャンスは二度と来ないかも。そう感じ、大きく深呼吸をする。冷たい空気が鼻から体内へと流れ込み、不安や恐怖、熱くなった体を冷やそうと駆け巡っていく。
そして──頭が少し冴えてきた頃、謎の声が言っていた『力の解放』、メルキセデクが言っていた『力を信じろ』その言葉が脳裏で繰り返し再生される。
どうしてそんな言葉が今再生されるのか理解できない。だけど、これは神託のようなものかもしれない。
ということは……僕は僕自身を信じなければいけないということかな?
きっと、もし僕が自分の力を信じられないのならば、その力は無意味なものになってしまう。謎の声もメルキセデクもそう言いたのだろう。
僕はそう考え、目を閉じ再び深く呼吸をする。
大丈夫、僕は強い。僕は未知なる力を秘めている。そう、何度も自分に言い聞かせる。
ただ言い聞かせるだけでもプラシーボ効果というものは発揮されるらしい。
大丈夫。そうポジティブな言葉を繰り返していると、力が内から湧き上がってくる様な感覚を覚える。
うん、これならやれる!
そんな確信を胸に、僕は目を開き、一歩、踏み出す。
すると、握っていたロザルトの鞭に花びらがとつじょ集まり始め、なにかを形成し始め──。