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-見えない力、自分を信じて-12P
「ここに帰ってこれたということは……生きることを許された、ということでしょうか?」
白い獣が不安げな瞳で僕をじっと見つめる。その瞳には純粋な不安しかないことが伺える。
僕はそんな獣をこれ以上心配させまいと、
「そうみたいだね。『僕にしか止めれない運命がある』とか……なんとか言っていたかな?」
なんて明るめに返す。だけど、その心根にはやっぱり僕自身不安しかなくて……。それを白い獣も読み取っちゃったのかな?
「主様の運命……。そうですか……」
獣はどこか複雑そうな表情で顔を伏せ、それだけ言うと口を閉ざし黙り込む。
そんな獣の態度に、答えを間違えちゃったかな? そんな不安を覚えながらも、ふとここが戦場だということを思い出し──