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-見えない力、自分を信じて-7P
「おまえにしか止めれぬ運命というモノがあるのだな」
人の気配なんてなかったはずなのに、不意に誰かの声が僕の背中に響く。
僕だけしかいないものとばかり思っていた……。
「えっ……?」
僕はそんな声を漏らしつつ、どこからともなく聞こえてきた声に反応し、振り返ると……そこには、白いローブに身を包み、フードを深々と被った謎の人物が杖をついて立っていた。
男か女かも判らない。いや、人間かどうかすらも判らない、そんな得体の知れない存在にも拘わらず、
「クトロケシス神曰く、僕には運命があるらしいですね。その運命がなんなのか? 全く解りませんけど…………」
そう答えながら僕はなぜか自然と、その人物に話しかけていた。
そんな僕の答えを聞いて黙り込む不思議な存在に、涙はいつの間にか引っ込み、ところでこの人は誰? そんな疑問が脳内を埋めつくしていく。
そんな僕の心情を読み取るように、