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-見えない力、自分を信じて-2P
そんなことを考えながらも必死に起きなきゃ、カルマンを救わなきゃ。そんな焦燥感に駆り立てられる。
だけど、体が言うことを効かない。動きたいのに誰かに馬乗りにでもなられているようにビクともしない。
息が……苦しい……。
「カ……ルマン……た……すけて……」
必死に声を絞りだす。でもその声はさえずりにもならないほど弱々しいモノ。
人の気配なんて感じないこの空間で、そんな声はなんの意味もなさない。
あれほどまで死を覚悟していたはずなのに、いざ死ぬとなるとやっぱり怖い。死にたくない、生きていたい。そんな感情がグルグルと脳内で蠢き、後悔するように涙が零れる。
だけど、その涙はとても重く、水になった瞬間氷になっていくように冷たく感じられた。
辛い、苦しい。そんな気持ちのみが僕を支配し始めた頃──