529/1664
057-見えない力、自分を信じて-1P
白い獣が必死に駆け寄ろうとする中、満面の笑みを浮かべる僕の間にふわりとロザルトの花びらが舞い込む。それは僕と獣を引き裂こうとしているように包み込んでいく。
徐々に視界がロザルト色に染まり、なにも見えなくなった頃、
「あっ、う──な、に……これ……」
目の前は真っ暗になり、それと同時に激しい頭痛が襲い始める。
頭に鈍い痛みが走り、立っていることすらままならない。体温が次第に下がり気分も悪くなっていく。
なにが起こっているの? そう思ってもなにも理解できない。あの文言のせい? そんな疑念を覚えるけど、プツリと糸が切られるように僕の意識も途絶える。
なにも感じない、なにも聞こえない、なにも見えない。真っ暗なそこ。目を開けているつもりなのに、瞼が重くて開かない。
僕は死んだ……のかな? 何度目だろそんな縁起でもないことを考えるのは……。