-成長、そして覚悟-9P
その可能性はある。
そうなれば、僕がカルマンを殺すか、それともカルマンが僕を殺すか……。選択肢が二つになってしまう。
だけど、僕は……そこに新たな選択肢を追加する。僕もカルマンも死なない。僕はカルマンを殺さないし、カルマンも僕は殺せない。そんな選択肢があると信じながら、そのタイミングをひたすらに待つ。
もうそろそろかな?
全ての感覚を遮断し、黒い世界に一人、ポツリと佇んでいる僕の前に、ひとつの光が現れた。
僕はその光を胸に抱え目を開いたと同時に、
「強きは勿れ。弱きを屠れ。白き光の導きをメルキセデクの名のもとに、囚われし罪人を贄とせよ──」
全ての感覚を戻し、脳に浮かぶ言葉を復唱する。
その瞬間、その言葉に応じるかのように、ロザルトの花びらが吹雪のように僕たちを包み込み始める。
これは……? 一瞬、不安感が僕を襲う。だけど── どうやら、外の世界から隔離されようとしているんだと思う。
だけど、それでいい。誰かを巻き込むことや、他の魂を遣う者にこの状況が見つかるのだけは避けたかったから。
こうなるまでに、かなり時間も経っているはず。それに、メテオリットや欠片が現れるから、夜は外出を控えよう。そう教会が言い続けても言っても外出してしまう人は少なからずいる。
それに、誰かが出てくる可能性しかない現場なら尚のこと。
誰も巻き込みたくないし、誰も傷つけたくない。それがバケモノへ成り果てたカルマンだとしても。
そして、僕も死にたくない。だけど……