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-成長、そして覚悟-8P

 まあ、そんなことどうでもいっか。


 僕はそう思いながら、映し出される映像に注視する。


 どうやら白い獣は、僕のことに意識を集中させすぎたせいか、黒い獣に一撃入れられてしまったらしい。


 白く神々しい被毛が赤く染まっていく光景が、脳内に映し出される。


 本来ならば好機でしかない。戦闘経験なんて皆無な僕ですらそれは理解できる。


 けれど、黒い獣は今が絶好のチャンスにもかかわらず、攻撃の手を止めている。


 ああ、なるほど……。本当は白い獣を殺す気なんて、最初からなかったんだ。


 カルマンにつく理由は解らない。でも、無駄な殺生をしないのもまた黒い獣なりのポリシーなのかもしれない。


 そんな黒い獣を見つめていると、赤く染まった月に向かって、遠吠えするように口を空に向け始める。


 その声は僕の耳には届かない。だけど、その表情はどこか悲しみがこもっているようで、もしかすると、黒い獣の中でなにかしらの葛藤があるのかもしれない。


 それがどんな葛藤かは判らないけど、カルマンを正気に戻したい。僕と同じ気持ちだったらいいな。そんな願望を無意識に抱いてしまった。


 そして、僕とカルマンは……。


 どうやら、感覚を遮断しているにもかかわらず、僕の体はまるで誰かに操られているかのように、洗練された動きで攻撃を防御し、受け流しているらしい。


 その光景にカルマンは苛立ち、なんとか僕に一撃を加えようと奮闘しているのが見てわかる。


 野生的なカルマンはもしかして、僕みたいな弱い人間にさえ翻弄される? 一瞬、そう思ったけどそもそも全てを遮断した僕の体が無意識に動くわけがない。そんなの有り得ない。


 だからもしかすると、これはカルマンを殺したい誰かの手によって──

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