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-成長、そして覚悟-7P
僕はこの言葉に頼ることで生き延びれるかもしれない。どう転ぶかも解らないけど、どうせ死ぬなら、無意味な死を選ぶより、抗って死ぬほうがかっこいい。
僕は目を閉じ、意識を研ぎ澄まし始めた。
「主! 死に急いでは行けません!」
その直後、微かにそんな声が僕の耳に届く。
だけど、僕は死ぬつもりなんて毛頭ない。だから抗わせてよ。そう思っても、声は必死に僕に呼びかけ続ける。
死ぬつもりのない僕と死に急いでいるように捉えている白い獣。
ああ、この声も邪魔だな……。僕はそう思い、意識的に聴覚を遮断する。視覚も同時に閉じて、完全に外界との接触を断ち切った。
なにも聞こえないし、見えない。はずなのに……目の前でなにが起こっているのか、まるで第三者の目を通して見ているように、鮮明に脳内に映し出される。
どうして? そんなことを考えたところでなにも解らない。だけど、これが僕の力だとも思えない。外的要因が動いている?