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-成長、そして覚悟-5P
陰に囚われ続けるように、カルマンの瞳にはなにも映っていない。
そして、未だにメテオリットの赤い液体が彼の顔や体にべったりと付着し、その鉄サビのような臭いが漂ってくる。
メテオリットの核から噴出した液体が、血液だとは仮定できない。だけど、なにかしらの命を象徴しているものであるのは間違いない。
ただの血液ならば問題はないけど……もしかして、赤い月に意識を集中させ続けていたけど、メテオリットの核から排出された液体によって、カルマンが狂ったとか……!?
そんな嫌な憶測を立て、僕はなに一つ集中なんてできていなかったらしい。
「主様っ!」
白い獣が慌てた声で僕を呼ぶ。
僕はハッと我に返り、状況を確認し──。