522/1663
-成長、そして覚悟-4P
クルトを絶対殺さない!
多分、身を呈して正気に戻す気がする。ルフーラならやりかねない。
クルトならば?
クルトのこともまだよく判らない。だけどクルトならば、相手の名前を呼んで困惑していそうだな……。そしてなにもできずに……。僕と同じパターンに陥りそうだ。
そんなタラレバな自問自答。繰り返す。
この中で一番、模倣に出来そうなのはルフーラかな。
それは想像の範疇でしかない。それに妄想と現実は全く異なる。この選択を失敗してしまえば、僕は確実に死ぬ。
死ぬのは怖い。言っちゃ悪いけどまだ死にたくない。だけどそんな弱い僕を乗り越えないと、何度も同じことを繰り返す自信しかない。
やるしかない……。僕が死んでも、カルマンを止めなきゃ!
「すぅー。ふぅ……」
僕は深呼吸をして、カルマンの目をじっと見つめる。
赤く光るその目に、本当の光なんて見当たらない。