表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
517/1663

-二匹の獣-9P

「……あなたは、我が主に仕える下僕様の現状を把握していながら、それでも仕組まれた暴走を止めるつもりは毛頭ないのですね」


 僕がどう動くべきか必死に考えていると、白い獣が冷静で落ち着きのある声で黒い獣に問いかける。


 状況の危機感とは裏腹に、白い獣の態度はどこまでも冷静なように思える。そして、どうやらカルマンのことを僕の「下僕」だと誤解しているらしい。丁寧に「様」までつけている。


 それが礼儀なのか、人ならざる者へ落ちていくカルマンへの皮肉なのかよく解らない。でも、そんなことを考えている余裕はないのだけは判る。


「あぁ。俺様は、コイツの思う通りに動く。それが俺様の決めたルールだ」


 黒い獣はそう言うと、まるでカルマンに対して恩情でもあるかのように、白い獣に向かって牙をむき出しにして唸り始める。


 それに反応して、白い獣は僕を守るように前に立ち、まるで猫のように毛を逆立て、黒い獣に向かって同じく牙をむき出しにし威嚇する。


 白い獣と黒い獣が睨み合う姿は、まるで僕とカルマンの姿を映し出しているようだった。お互いに求めているものが違い、それぞれの立場に縛られ、望まずとも対立しなければならない状況にある。


 それは一生理解し合えない──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ