-二匹の獣-5P
どうすれば……誰か助けて! ううん、今は僕しかいない。他力本願は捨てきらなきゃ。自分の力だけでどうにかしなきゃ……。でも、どう動く? どの一手が正しいのか――。
そんな不安が葛藤を産み、混乱を余計、引連れてくる。
頭の中は『なにも解らない』『どう動けばいいのか判断できない』そんな情報で溢れ返り、大洪水を引き起こしかけている。こんな状況の中で、どうにか切り抜ける方法は存在するの!?
必死に戦況を整理しようとしていると、白い獣が不意に口を開き、
「主よ! どういう経緯であれ、ようやく魂の覚醒に成功されたのですね!」
そう僕にしっぽを振りながらペコリとお辞儀をする。
この獣は友好的なのかな? ううん、そう思わせて……なにも判らない。
……あれ? 僕ってこんなに、誰かを疑うような人間だったっけ? そんなことはなかったはず……。普段ならきっと、祈りが通じたんだと歓喜しているに違いない。
じゃあどうして? 状況が状況だから? この状況だからこそ、信じることが怖いと思っているのかも……。疑うべきなのか、それとも信じるべきなのか……。いや、そんな無意味な葛藤をしている場合じゃない! まずは直接話しをしてみて考えよう。
僕はそんな決断をしたのち、深く息を吸い込み
「君は誰? 僕にとって敵になるの? 味方になるの?」
単刀直入に切り出し確認する。
急に芽生えた僕の警戒心。その警戒心を必死に制御しながら会話を温めて。