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-二匹の獣-2P
そう、フェンリル。そう呼ぶのが相応しい。そんな見た目をしている。
一方、黒い獣は禍々しく、闇のように黒い被毛に覆われ、その姿は悪魔の下僕のように不気味で、ただならぬ存在感を放っている。この獣はガルム……
死の番犬として忠実な側面を見せるソレを当てはめるのに相応しい。
この得体の知れない二匹は、僕の中から出てきた。これは……夢? そう現実逃避しかける。
だけど、見間違いじゃないのは確か。未だに二匹の獣は僕を見据えなにかを考えているようにも思える。この二匹の獣は敵? それとも──判らない。
目の前にいる存在が敵であるのか、味方なのかなに一つ判断できない。
そもそも、これは犬……? いや……黒い方は犬に見えなくもない。だけど、白い方はどちらかと言うと狼だ。
こんな状況でどうすればいいのか、頭の中は混乱でいっぱいだ。
カルマンが人ならざる者へと落ちようとしている。そして、理解し難い不可思議な存在の登場──