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055-二匹の獣-1P
僕の叫びに反応してか、それとも単なる偶然か。
ピカリと光が二つ。僕の体から弾き飛ぶ。
「えっ!? あっ──」
その衝撃で、僕とカルマンは磁石のように反発しあい、数メートルほど吹き飛ばされた。
その瞬間、白と黒の毛をまとった二匹の獣が現れる。
それは、とある福音書に記された二匹の獣を彷彿させるようにも思え、緊張が一気に走り抜けていく。
白い獣は神々しく、輝くような白い被毛をまとい、その姿はまるで神の使いのように美しい。
そんな神聖な見た目にもかかわらず、首と四本の足にはそれぞれ重々しい鎖が巻きつけられ、自由を奪われたかのような存在……。
この白い獣をなにかに例えるならば──