-魂の覚醒-8P
圧倒される。ただ傍観しているだけなのに、僕まで死ぬか生きるかの選択を迫られている様な緊迫さがあり、手に汗を握る。そんな状況。
さらりと伸びる髪は、束ねられることもなく、無造作に動き回る。
そんな長く伸びた黒髪が邪魔だと言わんばかりに少年は、眉間に皺を寄せ魂を遣う者を睨む。その瞳は真っ赤に燃えていて、閃光を走らせるカルマンの瞳と類似している気がした。
あの頃も、その少年の目は印象的だった。
あの時、僕自身がその少年の攻撃を受けたわけじゃないけど、僕に向ける攻撃はあの時の少年を彷彿とさせる。
まるであの時の少年が、カルマンだったと言わんばかりに。
最終的にどちらが勝ったのか。それは母さんに見つけてもらい、避難したから判らずじまい。その時の少年が生きているのかすら僕は知らない。だけど、その時にみたモノと同じ様に感じる。
もしかすると、そこにヒントがあるのかも。僕はそう考えながらも必死に脳裏に浮かぶ映像を隅々まで見渡す。
だけどそのヒントは得られなかった。
判ることといえば、カルマンの攻撃は重みがあり、一歩間違えれば本当に死ぬ。ということ。
僕とカルマンとでは戦力の差が数百倍以上ある。
待つのは絶望だけ。
絶望の淵に立たされ、僕は窮鼠の様にもなれず悪戦苦闘を強いられた。
「あ 、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!」
言葉にできない気持ちを声に乗せ僕は叫ぶ。どうにかしたいのに、なにもできない。こんな自分は嫌だと全力で──。