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-赤き月とカルマン-12P

 置いて逃げたくはない……。でも僕にはかないっこない。僕が勝てる相手なんかじゃない! やっぱり逃げるべきじゃ……。そうだ、逃げ──。


 一瞬、そんな思考が過ぎる。


 だけど──


 それは違う! 自分を守るためなら、時としてその選択肢も必要。だけどそれは今じゃない。


 そう弱気な自分を叱責する。


 だけど、弱気な僕は『ならどうするの?』そう僕に問いかける。


 そんなの判るわけないじゃん! 僕の第一声はそれだった。


 でも、それは他力本願なだけ。そう自分を戒め、直ぐに別の思考へと切替える。


 助けを呼べば……?

 その人物は本当に助けてくれるの?

 安全と言えるの?


 ヘレナならどう?

 ヘレナとカルマンは仲が悪い。手を貸すなら、条件を突きつけられるかもしれないし、それが事態をもっと悪化させる可能性だってある。それに──


 考えれば考えるほど底のない闇へと落ちていく。


 正直いって、この流れは最悪のシナリオでしかない。悲劇や喜劇なんかじゃない。第三者が他者の命を平然と踏みにじり、満悦する最悪のストーリー展開でしかない。


 そんな最低な第三者の思惑通りにはさせない。カルマンを死なせる可能性(未来)があるなら、僕は逃げることはしたくない。そんな選択肢、僕は嫌だ! 僕はそう考え、最善策を模索する。


 だけど、助けるにしてもどうすればいいの? 何度頭を巡らせても、そこに着地する。


 僕に治癒の力はあれど、誰かを救えるような力なんてない。誰かに守られるだけだった僕になにが出来る?


 頭の中がぐちゃぐちゃに絡まり、答えはいつまで経っても見つからない。考えれば考えるほど、思考はこんがらがって、意味が解らなくなっていく。


 なんでこうなったの?

 どうして? なんでカルマンが……!?


 僕はそんな苛立ちを覚えながらも、狂気に囚われていくカルマンを見つめ、どうすればいいのか判らずその場に立ち尽くすことしかできなかった──

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