-君は本当に……-10P
「フェルは、ほんとブレないね。気を使ってくれてありがとう」
そう言いながら喉元を優しく撫でた。
「オレサマ、感謝されて当然ガウ! 本当に感謝しているなら、早く三十万セクトをオレサマに渡せガウ!」
フェルは喉を鳴らしながらも、いつもの調子で高額なセクトを要求し始める。
「フェル? それはそれ。これはこれだよ? それに──」
僕はそう言い、カルマンから盗んだ一億五千万を追求しようとフェルに詰め寄る。
「まぁ、まぁ」
そんな僕を母さんが穏やかな態度で仲裁に入る。
母さんのその態度から、僕はフェルの功労の大きさを理解した。フェルがいなきゃ、きっと普段通りに戻るまで、もう少し時間がかかっていたかもしれないし……。僕はフェルに感謝の念を抱くように、今日は追求するのをやめた。
この一ヶ月ちょっとで、色んなことがあった。
だけど、魂の使命こん願者を続けることは認めて貰えたし、これで一先ず安心……かな?
まぁ、この話を第三者にした時、これは僕が悪い! なんて頭ごなしに怒られるかもしれない。逆に母さんが頭でっかちなだけだ。なんて僕を擁護してくれるかもしれない。
どちらにせよ今日話した内容には、確実な答えなんて存在しない。それはどちらかが折れて得た結果にすぎない。
僕は普段通り明るくフェルと戯れる母さんを横目に、『ありがとう』そう心中で二人への感謝を零した──。
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