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-君は本当に……-8P
なんて大きな声を出す。僕はその声にビクッと体を跳ね上げたあと、恐る恐る母さんに視線を戻す。
母さんは、『大丈夫よ』そう言いたげに、優しげな笑みを浮かべながら、
「魂の使命こん願者を続けるなら、私の一生に一度のお願いも聞いて欲しいわ!」
そう脈絡のないことを口にし始めた。
「えっ? 一生に一度って、大げさすぎないかな?」
そんな母さんの言葉に僕は、眉を下げ困り顔をしながら苦笑する。
「ううん。大げさなことじゃないわよ?」
「えっと……。一生に一度のお願いってなに?」
母さんはそんな僕の相槌のあと、
「絶対に死なないで。私より先に、死後の世界には行かないでね」
寂しさや葛藤を滲ませた笑みで僕に「約束よ?」なんて言った。
母さんは普段通りの態度を貫くけど、その願いは真剣そのもの。今、目の前にいる母さんの表情からは、想像できないほど重たい鉛のようだった。
どうしてそんな笑顔で言うんだろう? 母さんの心境が判らない。だけど、僕はそれを受け入れ心の中に沈めた──