174/1661
-君は本当に……-6P
そんな母さんの態度に、僕はやっぱりかける言葉が見つからなくて、
「ありがとう……。我儘を言っちゃって……ごめんね」
そう無難なことしか言えなかった。
そんな僕の謝罪に、母さんは目を伏せ、ただ「うん」と頷くだけ。
複雑な心境をひた隠し、飲み込もうとしている母さんに、僕は
「母さん、カルマンとの契約の話だけど……」
そう契約について話をする。
こんな状況で、伝える話じゃないことは理解している。だけど、今しかこの話はできない。そんな気がしたんだ……。
「うん」
「契約は、簡単には破棄できないらしい。だけどその代わり、カルマンが守ってくれるから、僕は死なないよ」
『僕は死なない。だってカルマンが守ってくれるから』そう自分に言い聞かせる様に、心の中で復唱し、力強く伝えた。
「そう……。カルマン様を信じるしか……ないわね……」
母さんは目を伏せたまま、そうポツリ。