224-続き-
「それは辞めとこう
なにが代償になるかわからないのにそんな危険な技を使うことは僕が認めない」
その理由は、ルフーラが、時折苦しそうに心臓を抑えているから。そこで禁忌の魂法を使っても、絶対良い結果を生まないと思ったから。
だけどルフーラは納得していないみたい。
「じゃあどういうシールドを張れば言い訳?
流石に指をずっと捕らえておくなんて難しいと思うけど?」
そう言って、僕に反論を示す。
ルフーラの言い分は分からなくない。でも、どうするの? なんて聞かれても、パッと思いつかないのが本音。
とはいえ、ここで何も答えないときっとルフーラは無理をするような気がする……。
なら、どうすれば……? 僕は悶々と考え込んだ。
そんな僕たちの会話を聞いていたんだと思う。
「……シャボン玉」
ボソッとアリエルが呟く。
だけど、それは唐突なもの。ゆえにカルマンが、怪訝するような態度で口を開く。
「シャボン玉……?
それをどうするんだ?」
そんなカルマンの疑念に、アリエルは顔を伏せ囁くような声で言葉を続ける。
「シャボン玉は洗剤や石鹸を入れることによって表面張力が小さくなる。
だから宙に浮かせることが可能な訳だから……」
それは一見、簡単なように聞こえる。だけど、実際そうじゃない。だから僕は疑問を投げ掛けるようにして声を上げた。
「それってかなりコントロールが必要じゃないの?」
その言葉と同時に静まり返る空間内。だけど、誰もそんな僕の疑問には答えてくれない。
やっぱり無理なんじゃ……?
僕はそう思い、続けざまに声を投じようとした。
だけど――
「ちょっと待って!
シャボン玉とは違うけど、力を封じ込めるシールドがあるっぽいんだけど」
どうやらルフーラは、魂法でそれに近しい何かがないのか調べてくれたみたい。無理だろうと頭から決めつけ否定しようとしていると、言葉を遮るように声をあげた。
だけど安全かどうかの保証はない。
ここはちゃんと聞くべきか否か。でも、聞いてもちゃんと本当のことを教えてくれる保証なんてどこにもない。
そんなことを考えていたら、カルマンが僕の代わりにルフーラへと疑問を投じた。
「それも禁忌だったりするのか?」
「ううん。普通に使えそうだね」
「そのシールドに入れておけば万一、力を使おうとしても無力化できるって認識で良いんだよね?」
「多分……?」
「と言うかそれならば、あいつの身体をそのシールドで覆えば良くないか?」
「……小さいものしか使えないから難しいと思う」
そんな事を言い合いながらも、ルフーラのお陰か。話が前にすすみ始める。
とはいえ、ルフーラの命が犠牲にならないって言う保証もどこにもないけど。でも……ここで足踏みばかりしていても意味がないのはずっと同じ。
「まぁなんにせよ、考えている時間はなさそうだし一か八かでやってみよう」
僕はそう言いながら、念の為ロザルトとヤドリギを融合させた蔓を創り出す。
ヤドリギはロザルトの力を吸収しながら成長を見せる。
だけどなぜかロザルトは枯れることなく、赤々と血に染まったような色の蕾をつける。
「なんだそれは?」
それに驚きを覚えるようにして、カルマンが声を上げる。
だけど、それがなんなのかと問われても、僕自身よく理解できてなかったりする。
「僕にもわからないけど……。まぁ取り敢えず捕縛してみる」
僕はそう言いながらロザルトとヤドリギが交わった蔓を地面に張り巡らせる。
「なにをしている?」
「蟻地獄のように、罠として張り巡らせてるんだよ」
「なぜ?」
「ちょっと集中したいから黙ってて?」
「黙れと言われても、それがなんなのか理解できないのだから、教えてもらう義務があると思うんだが?」
「はぁ……。少し黙っててって言ったよね?
どれくらいの瞬発力があるか解らないから逃げられた時のためだよ」
「……なるほどな」
カルマンは、それだけ言うと少し寂しそうな――不貞腐れるような態度で、ルフーラやアリエルの元へ、なにか指示を出しはじめる。




