220-続き-
「見えないだけで、痕跡はあるかもしれないだろ!?」
「そんな顔をしても意味ないよ
もし痕跡を残せるくらいの力なら、透明なシールドも半透明くらいに精度は落ちるんじゃない?」
「可能性があるだけだろ?」
そう言ってカルマンは、僕の話なんてちっとも耳を傾けてくれず、むしろ眼前のタナストシアに相当な恨みでもあるのか、冷静さを非常に欠いているようだった。
そんなカルマンに僕は、“あっそ”と一言。
普段ならそんなカルマンを正そうと尽力していたかもしれないけど、なぜかこの時は見捨ててしまおうと言う残酷な考えに至ってしまった。
それに違和感を覚えさせちゃったのかもしれない。
いつもならば、他者に興味を示さないルフーラが、唐突にカルマンへと声を掛け始めた。
「カルマンは、どうしてそんなにあのタナストシアを恨んでるわけ?」
けれどそれは唐突な質問。だからかな? カルマンは“は?”と一言。目を瞬かせ続けた。
でも、ルフーラはそんなカルマンの機微なんて読めなかったんだと思う。
「は? じゃなくて知る権利くらい僕たちにも有るんじゃない?」
そう言って、理論……? なのかな。なんか問い詰めようとしていた。
でも、カルマンは頑なにその理由を教える気はなそうで。
「おまえたちには関係ない
俺とあいつの問題に、首を突っ込んでくるな」
とか何とか言って、絶対に口を割ろうとはしなかった。
だけど、それを許さないのがルフーラ。
ルフーラは、多分自分が納得できないからかな?
「いや、聞かないと解らないから聞いてるんだけど?
なに? あんた、背だけ伸びた中身子供のまんまな訳?」
とか言って、冷静さの欠片もないカルマンを煽ってた。
なんかちょっと血的なフェルみたいにして。
それが余計、火に油を注ぐ形になっちゃったんだと思う。
「うるさい!
おまえになにがわかるんだ!?」
ってカルマンが怒っちゃって。
でもルフーラは、そんなカルマンのことなんて意に介した様子もなく。そのまま正論というのか――うん、やっぱり煽り散らかしてた。
「解らないし、解りたくもないよ?
ただ、この現状を打開するには理由を聞くのも一つの手段だと思うんだけど?
それに、あんた一人じゃなくて、周りには他にも人間がいるんだよね?
あんたの勝手な都合で暴れられても、僕たちにはかえって迷惑になるだけなんだけど?」
でも、その煽りはかなりカルマンに効いたらしい。
「……っ」
ぐうの音も出ずに鎌を持った手をワナワナと震わせながらなにかを我慢するような態度を見せながらも、一呼吸。




