215-最凶のメテオリット-
目の前に立ちはだかるテオさんに似たヌルというメテオリット。
フェルが先手必勝と言わんばかりに攻撃したあと、カルマンが具現化した鎌を振るう。
だけど、蛇の骨を被ったタナストシアが言っていた通り、ヌルは大柄な体をしているにもかかわらず、かなり俊敏な個体なんだと思う。
カルマンの連撃を素早く避け続けている。
それに加え、ヌルに一撃を当てれたと思っても、皮膚がとてつもなく頑丈なのか、まったくと言っていいほど歯が立たない。
そんな僕たちを弄ぶようにして、蛇のタナストシアはヌルへと命令を下す。
「お返しして差しあげなさい」
その命令を受けたヌルは、再度四股を踏むと、僕たちに向かって力強く突進しはじめる。
その動きはやっぱり俊敏の一言に尽きる。
多分だけど、カルマンよりも早いんじゃないかな?
わかんないけど、体感的にそう思ってしまう。
そんなヌル相手に、今の僕たちじゃどう足掻いても太刀打ちできないのが正直なところ。
最凶のメテオリットという名前に嘘偽りなしと言って過言ではない。
近接戦を得意とするカルマン。火を噴き援護に徹するフェル。
そして――ビュオーンッ
そんなフェル同様に、援護をはじめたルフーラ。
だけど、ルフーラが使っている魂法は繰り出すには少し時間がかかってしまうデメリットがあるからか、
「うッ……」
その隙を好機とするようにして、ヌルがルフーラの鳩尾に重い一撃をお見舞いする。
そんなヌルの力強い拳を防御することなく、壁に激しく叩きつけられ血を吐くルフーラ。
だけど、以前のように諦めることはなく。すぐさま立ち上がる。
とはいえ、その動きはゆっくりで。痛みを必死に堪えているのがよくわかる。
この状況は控えめに言って最悪だ。
多分、今の僕たちが何人がかりで相手にしても敵わない。
(ノイン、お願いできる?)
僕は、ゴクリと唾を飲み込みながらも、ノインを呼び出した。
『もうわいの出番か?
わいのこと、奥の手とか言いよったけど、こんなんのために出撃させるあんさんは、まっだまだやな〜』
嘲笑するように実体化するノイン。それを認めた蛇のタナストシアは、どこかか感嘆とした声を上げる。
「ほぅ……これは驚きましたね。
ノインは消滅したのではなく、そちら側について居たのですね」
だが、そこに恐怖の色は一切ない。
どちらかといえば、良いデータが取れる。そんな感じの舐めきった態度。
そんな蛇のタナストシアに、僕は若干苛立ちを覚えながらも、すぐさまノインへとお願いする。
(僕たちに危害が行かない程度で、そのヌルっていうメテオリットの対処をお願いしたいんだけど!)
そして、ノインについていた枷を、一時的に解除してやる。
まぁ、枷の存在を知ったのは偶然で、ヘレナと特訓している時にたまたま……なんだけど……。
だけど、結果的にそれで良かったらしい。
『ふぅ〜
体が軽ぅなったわ!
ほないっちょ暴れるとしますか〜』
ノインはそう言いながら、腕のような蔓を地面へと叩きつけた。
瞬間、大きく地面が揺れ動く。
その突然の先手攻撃に、ヌルは一瞬だけバランスを崩すようにしてよろける。
その隙を突くようにしてノインは、傾き掛けた体へと蔓を絡ませ拘束する。
けれど、ヌルにはそれほど効果はなかったらしい。力だけで突破する。
『おい、あれはなん――』
「だ!」
「ガウ!」
それを認めたカルマンとフェルが同時に声を上げる。
だけど、今はそんなことを説明している暇なんてない。
「話はあと!
まずは目の前の敵を倒さなきゃ、僕たちの戦いも終わらないよ!」
僕はそう言って、ヌルへと具現化した鞭を放つ。
だけど、頑丈すぎるその皮膚を傷つけることなんてできず。
やっぱり無理か……。
そう考えながらも、何か策はないかと思考を巡らせた。
それと同時。




