214-続き-
「ほぅ……
魂を守護するモノの分際で、火を自在に扱えるとはなんと忌々しい……
小さなその体で、私に楯突くつもりですか」
新たなタナストシアはそう言うとクマの化け物に殺りなさいと命令する。
それと同時。クマの化け物は、うおおおおお。と咆哮したあと、後ろ足を思いっきりあげ四股を踏みはじめる。
その行動はどこか人間というか……意思ある存在に思える。
だけど、白目を剥き出しにしてヨダレを垂らしているところを見ると、どうしてもそんな感じには思えなくて……。
僕はゴクリと唾飲み込んだ。
「このメテオリットは今まで街で暴れ回っていたソレとは異なり、最凶の名を持つ完全体の第一号ヌル――さぁ抗いなさい」
新たなタナストシアはそう言い両手を広げると、ヌルと呼ばれるクマの化け物が、僕たちに向かって突進しはじめる。
そんなヌルの行動に、思わずカルマンが声を上げた。
「なにが先手必勝だ!
殺るなら一発で仕留めろ! このポンコツタヌキ!」
「うるさいガウ!
アイツ、思った以上に焼きにくいんだガウ!」
そのやり取りは、カルマンがタナストシアだったと判明する以前のもの。
そう言えば、こんな感じでカルマンとフェルって仲が悪かったんだっけ。それから……ヘレナともあんまり馬が合わない感じだったよね。
僕はそんなことを考えながらも、ふとルフーラの方へと視線を滑らせた。
ルフーラは、クルトが死んじゃったかもしれない。そんな絶望を抱くようにして、心ここに在らず。
ちゃんと動こうとはしているみたいだけど、投げやりというか。精神的な負荷が高いように思える。
それから……どうしてかわからないけど、ヘレナの死と同時に消えたファルファルーンの気配。もしかすると、あれも関係してるのかも。
とはいえ。僕がどうして神様の気配を感じ取れるようになったかはわからない。だけど、最後の覚醒? それがげんいんなのかも。
もしかすると、ルフーラが言った〔神の領域に近いもの〕がこう言う事を指すのかもしれない。
まあ、実際にはわからないけど。




