015-君は本当に……-1P
「リーウィンちゃんはそう考えるのね。ならもし、自分か他人のどちらかしか助けられない状況になったら? 誰かに仕組まれた運命が、その人を救えと言えば、あなたは自分の命を捨ててでもその人を救うのかしら?」
そう意地悪な質問を投げかけてきた。
そんなの……解んないよ……。その時にならなきゃその答えなんて見えないし、どう動くかも想像できない……。死ぬのは怖い。でも、僕の命と引替えに、救える命があるならば──。
そう答えたくなる衝動をグッと堪え、もう一度じっくり考える。
だけど答えなんて解らない。この質問に答えが存在しない。どんな答えを出しても、それは個人の考え方の違いによるもの。他人からみれば、僕の出した答えは正解とは限らない。たとえ僕が、『これが正解だ!』と言っても、きっと母さんは『それは不正解よ』と返す。
そんな不安が支配し、僕はなにも言えず黙り込んでしまった。
そんな僕とは対照的に、母さんは
「リーウィンちゃん、もう魂の使命こん願者になるのは、辞めにしないかしら?」
普段と異なる信念を貫き、強い想いを声に乗せてくる。
魂の使命こん願者を続けることへの拒絶。それが母さんの信念で、本心──