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-お互いの意志。譲れぬ信念-9P
僕は、その怒りにつられ、胸の内から熱いものを混み上げさせながらも、
「僕自身、運命とかそんなことなにひとつ解らないよ。母さんが言っていることも解るし、その通りだと思う。だけど、たとえ誰かの意図が深く絡みこんでいたとしても、僕はそうしなきゃいけないなら、そうするしかないと思う」
僕は、母さんが言っていた、「腹を割って話そう」という言葉を思い出し、今の自分の考えをしっかりと伝えた。
もしかすると、そう答えたのも僕の意思じゃないのかも。意思の決定権を奪われ、誰かの意志に操られているだけなのかも……。ううん。ただ単に、なにかの思惑に巻き込まれているだけかも。だけど……、だけど! それで救える命があるなら──そんな気持ちが強く溢れ、僕は、自分の意見を変えることはなかった。
でも母さんの意見を反対する気も全然ない。母さんの考えも間違いじゃないと思うから──