-お互いの意志。譲れぬ信念-3P
「魂を貸して、一度は死んだと思ったんでしょ? 次は死ぬかもっていう〔可能性〕があるのは解ってる?」
そんな可能性を口にし始める。
今、僕がやるべきことは、そんな母さんの言葉にしっかり耳を傾け、答えを探さなきゃいけない。だけど、普段は甘えた声で冗談ばかり言う母さんが真剣になると、この人は誰なんだろ? なんて他人の様に感じちゃって……どこか注意散漫になってしまう。
でも、真剣な表情になっているのは僕のため。いつだって僕のことを最優先に考えてくれていた。だから──
「そうだね……。可能性があると言っても、そうならない可能性もあるよね? それに、今の僕には死ぬ覚悟はないよ……。死ぬのはやっぱり怖いし……。でも……」
そう言い、僕は目を閉じる。
今でも目を閉じると、メテオリットが襲ってきた時のことを鮮明に蘇る。それほど恐ろしい体験だった。
僕は色んなことを思い返したあと目を開け、
『それと同時に、自分の魂で人を救える可能性や、クトロケシス神が言う運命に少なからず、魂の使命こん願者と言うモノが関わってくるなら、続ける。と言う、選択肢しかない』
そう言いかけ、無意識に辞めた。
今はクトロケシス神が言う、運命がなんなのか解らない。もし母さんに「その運命は一体なに?」そう聞かれても、答えられる自信がなかった。だから口を閉じた。
「でも……?」
「うーん……ごめん! 色んなことを考えてたら、なにを言おうとしてたか忘れちゃった! また思い出したら言うね!」
僕は子供のようにあえて明るく振る舞い、話を逸らすように愛想笑いをしたあと、クトロケシス神について考える。
僕が生死の狭間を彷徨っている時に出会った、クトロケシス神……。クトロケシス神はリクカルトを守護する生の神で。
今、そんな女神が僕の中に居る。どうしてクトロケシス神は僕の中に宿ったのか? 「縁が──」なんて言っていたけど、確信を得ることはなにも教えてくれなかった。
どうしてなにも教えてくれなかったんだろ?