014-お互いの意志。譲れぬ信念-1P
母さんが自室から出てきたのは、それから一週間ほど経ってから。
その間に、一度だけカルマンが様子を見に来たけど、
「まだ話し合いができていない」
と伝えると「そうか」そう一言、直ぐに帰ってしまった。
一週間も……僕が魂の使命こん願者になることがショックだったんだ……。そう思うと、寂しさを覚えてしまう。だけど、仮登録に行ってすぐ、死にかけたんだ。誰だって、そういう気持ちになるよね。そう思いながら、少しやつれ、目の下にクマを作る母さんに、
「おはよう! 身体は大丈夫?」
と普段通りの態度で接する。
だけど、普段通りなんてほど遠い、ぎこちなさが滲み出ていたのかも。母さんは少し間を置いたあと、なにかを飲み込み、
「リーウィンちゃん、部屋に籠っちゃってごめんなさいね〜! でも、もう大丈夫だから、そんなに心配しないで?」
そう言い、普段通り明るく振舞い始める。
でも、その態度は空元気にしか見えず、僕はこんな時、どうすればいいのか。解からなかった。
そんな僕の戸惑いを察してか、母さんはそう言ったあと、ソッと抱きしめてきた。
「えっ……、えっと……」
どう話を切り出せばいいんだろ? どんな話題から始めればいいんだろ? 頭の中でグルグルと考えているうちに、僕はなにも言えなくなってしまった。
そんな僕に母さんは、
「リーウィンちゃん! あなたの気持ちも、解からなくはないのだけど〜、一度、腹を割ってお話しましょ〜」
なんて過剰なスキンシップを続ける。
真面目な話になるのは目に見えて解っているはずなのに、どうしてそんなことをするんだろ? なんだか……