-誰、これ……?-5P
もう借金があるんだっけ? それに借金だけじゃない。もしかすると、なにか問題を起こして、賠償責任に問われるかもしれない──! 僕は、暗い未来しか想像できないフェルとの生活に頭を抱えた。
「魂を守護するモノを創り直したい理由はなんだ? 一億五千万セクトを返すのが難しいからか? 確か、数ヶ月程度の給料のハズだが?」
「いや……えっ、……あ……」
えっと……この人はなにを言ってるの? ていうか、どこから突っ込めば良いの? えっ、もしかして、突っ込んじゃダメとか? いや、カルマンのことだ。きっと本気で言っていに違いない。僕は言葉を失い絶句した。
フェルを創り直したい理由。それは行動もあるけど、カルマンに似ている、という点も大きい。
あぁ、そう言えば……お金を要求してくるところなんかも二人は瓜二つだ。
「カルマン、あのね。聞いてくれるかな? 君がとても異例なだけで、普通は……どんな仕事でも、そんな大金、数ヶ月程度じゃ貰えないよ? 魂の使命こん願者がいくら命を懸るって言っても、毎月三十万セクトほどだよ?」
僕は、カルマンを諭すように、そして優しく現実を突きつけた。
この国では物価はそれほど高くない。魂の使命こん願者なんかの命を懸ける仕事でもない限り、平均月収は十から十五万セクトほどで、医療関係者(医者)でさえ、二十から二十五万セクトほど。そもそも魂の使命こん願者は、魂を遣われなくても教会から毎月、三十万セクトの保証金が支給される。
だから、僕が言った三十万セクトという額は、魂を遣われなかった場合の最低支給金に過ぎない。といっても、魂を貸し出すにはリスクを伴う。死ぬ可能性や後遺症などのリスクから、誰かに魂を貸せば一回遣われる毎に、五十万セクトが支給される。
リスクを無視すれば、確かに割は良いけど……それでも借金からは逃れることはできない。