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012-誰、これ……?-1P
カルマンは、服が乾くのを待つ間、僕より先に部屋に戻り、退屈そうに頬杖をついていた。
まあ、そこまでは良かったんだけど……
部屋に戻る前からドンッ、ドンッ! となにかを強く叩く音が響いていた。そんな中で、音を気にせず過ごせるなんて、ある意味神経が図太いのか……。いや、この数時間でカルマンのマイペースさはなんとなく把握してたけど……。うん、気にすると負けだ、よし無視しよう! それよりも──。
大きな音を立たせていた正体はフェルだったらしく、「開けろガウ!」なんて喚きながら窓を叩いていた。
僕は目を点にしながら、えっと……、どういうこと? 現状を理解できず呆気にとられてしまった。
窓の外には、
「開けろ! 開けないと殺してやるガウ!」
なんて大粒の涙を流しているフェル。一方、部屋の中には退屈そうなカルマン。そこには、確かな溫と冷が共存している。
そんな混沌とした空間でまともな思考ができるわけもなく……。
「あっ……え……、あ……っ!」
困惑しながら、僕は二人を交互に見続けた。
「おまえは、振り子時計みたいだな」