-カルマンとフェル-9P
だけど、僕の不安は杞憂に終わった。
筋肉はあるものの、意外と細身だったみたい。服は普通に着れたらしい。一安心しつつも、裾や袖は足りないよな〜。なんてカルマンに目を向ける。
「……」
僕の予想通り、裾や袖が足りていない。とてもダサ──。面白いことになっていた。
ダメっ! 笑っちゃダメだから! 僕は肩を小刻みに震わせ、必死に笑いを堪えた。
「えっと──。身長ってなんセンチ?」
カルマンの滑稽な姿に笑いを堪えつつ、僕は平常心を装って世間話を振る。
「そんなことが気になるのか? 百八十六だが?」
「ち、ちなみに体重は……?」
僕の服が入るってことは──。僕が見た筋肉は幻覚? そんな疑念が過り、つい確認してしまった。
「以前、測った時は五十二だったと思うが──」
カルマンは、そんな情報必要か? と首を傾げる。
まぁそりゃ……体重なんて普通、気にしないよね。僕も聞いておきながら、特に興味ないもん。
「ひゃくはちじゅうろくの、ごじゅうに……」
百八十六センチか〜。いいなぁ〜。そんなことを考えながらも、気づいかない方が良い事実に気づいてしまった。僕とカルマンは、二十センチも差があるのに、僕の方が体重が一キロほど重い……。そんな事実知りたくなかった……。
僕はその体重が、いつ計られた時のモノなのか考えないまま、肩を落とす。
「まぁ、体重に関してはかなり前に測ったきり、知らないがな」
そんなカルマンの言葉は僕の耳に届いていなかった。
僕って太ってるのかな──。そんな悲しみを覚えながら、白目を向いたまま洗濯し、室内に服を干したあと、乾くまでの間、部屋に戻ることにした──。