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02-教会へ-1P
「赤き月がリクカルトに現れた時、モルストリアナが再びこの地で、命を取り戻すでしょう」
教会へ向かっている道中、今日はヌワトルフ神父の演説日だったらしい。白く伸びた髭を綺麗に整えた老父が、そう熱心に訴えかけていた。
モルストリアナの再来。それは、古い文献に記された一説だ。
確か──。
〔悪魔に魅入られ堕神したモルストリアナを止めるべく、最高神エレアデウスが、真実の槍で心臓を一突きし、この地に落とした。だが赤き月の夜、槍の効力が消え、モルストリアナが目覚めてしまう〕
そう記されていた気が……? だけど赤き月なんて誰も見たことがない。だからなのかな? みんなあまり気にしてないみたい。ヌワトルフ神父の話を真剣に聞いてるのは、彼を信じてる信者さんたちだけだね!
まぁそういう僕も、あんまり関係ないかな〜って思ってるんだけど、たまに政策関連の重要なことを言っているらしいから、聞き逃すとちょっと大変なことになるんだけど……。