-カルマンとフェル-2P
やっぱり、さっきの挙動不審な態度も、なにかあるに違いない!
僕はそう思いつつも、二人の性格はとてもよく似ている。ということは……なにかしらの問題が起こるはず……。そんな嫌な予感が胸を過り、自然と憂いを帯びた溜め息が零れた。
そんな僕とは裏腹に、カルマンはフェルを見てなにか思い出したらしい。
「あぁ、そうだ」
そう一言、ポケットの中に手を入れ、なにかを探し、くしゃくしゃになった一枚の紙を僕に渡してきた。
「えっ?」
「忘れていたが、ついでだ。そこのたぬきの尻拭いをしてもらいたい」
「えっと……なにこの、ゴミみたいなの?」
「見れば解る」
ぶっきらぼうな態度で答えるカルマン。僕はそんなカルマンに訝しさを覚えつつ、紙に目を落とす──
紙には……なぁにこれ? 一億五千万セクトの返還? あはははっ。手の込んだ偽物の請求書作ってくるなんて、|カルマン(この人)かなり暇人なんだろうな〜。なんて思いながら細部まで目を通す。
そこには『ヌワトルフ・ベンゼン』と読めるサインが……。ということは……あっ、これ本物だ……。
「え? いや、無理です、拒否します」
その瞬間、僕は全力で首を横に振って拒否した。
いや、意味が解らない。一億? はっ? なにこれ。どういうこと? そんな疑問を抱くけど、到底理解なんてできるわけがない。
「それは困る。迷惑料と思ってくれ」
「いや、さすがにそんな大金ないよ! ムリムリムリ! それにフェルの尻拭いってどういうこと!?」
「請求書を読めば解るだろ?」
動揺を隠せない僕に対し、カルマンは冷静に僕に請求書を読むようにと促す。