011.5-カルマンとフェル-1P
ガチャッ──
カルマンと、そんな言い合いをしていると、ゆっくりとした勢いで、部屋の扉が開く。
「母さんが帰ってきたのかな……?」
そう独り言のように呟き、扉に近づいた瞬間、ゴンッ──
扉は突然、僕に吸い寄せられるように勢いを増して顔面にぶつかってきた。
それと同時に、
「おい、オマエ! オレサマを差し置いて、なにしているガウ! オレサマ退屈ガウ! オレサマを退屈にさせた罰として、金よこせガウ!! 今なら、百万セクトで許してやるガウ!」
フェルがなにか喚きながら僕の部屋に勢いよく入ってきた。
「いっっっっ──! はあ……、フェル。今、来客中なんだ……。一応、僕はキミの主なんだよ? もう少し、その偉そうな態度を改められないかな? あと、フェルはお小遣いをあげても、一日で全部使ってくるから、そんな大金あげれないよ」
僕は、苛立ちと落胆という相反する気持ちを同時に抱えつつも、フェルを戒めた。
「オレサマは、オマエを主として認めていないガウ! オレサマの許可もなしに、誰が来ているガウ!」
フェルはまるで第二のカルマンのように、ごう慢な態度で、短い手足を動かしながら、来客を確認しようとする。
「ちょっと、フェル!」
そんなフェルを制そうとしたけど、間に合わず。二人は目を合わせ、微妙な空気が流れ始めた。
そして一分後──
「ん? おー! オマエ、生きていたかガウ!?」
「おまえ、まだ生きてたのか」
お互い誰なのか認識したらしく、同じように嫌味を発しながら挨拶を交わす。
そういえばカルマンは、フェルのことを知っている様な口振りだった。それは嘘じゃなく、ほんとだったんだな〜。
ということは……