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-常識知らずなカルマン-9P
「へー。そうなんだね。で、たぬきってなに?」
聞いておいてなんだけど、僕はカルマンと契約する気はない! 念の為に聞いただけで実際、契約のことなんてどうでもいい。それよりもたぬきの方がよっぽど気になる。
「たぬきは、おまえのところの魂を守護するモノに決まってんだろ?」
「フェルがたぬきって、どういうこと?」
「あのたぬきには、そんな名がついたんだな」
カルマンは、特に興味がなさそうに、僕を見下しながら腕を組む。
「いや、だからなんでたぬきなの?」
「あいつの言動、全てがたぬきみたいだろ?」
カルマンは、僕の知らないフェルの側面を知っているような口振りで、憎々しげに説明してきた。
そんな説明のあと、カルマンは急にトイレに行くと言い残し、席を立った。
「ふぅ……ほんと疲れる」
僕はそうボヤきながら、カルマンを追い出せる絶好のチャンスを逃し、机に伏せて一時の休息を取った──。