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-母の反対-10P

 そんな母さんの怒りに、僕は言葉を詰まらせながらも謝罪した。



 だけどそんな僕の謝罪に、母さんは感情を抑えきれなくなったんだとおもう。



 今にも泣きそうな目でキッと僕を睨みつけ、手を振り上げる。



 あっ、これ叩かれる奴だ。僕はそう直感しとっさに目をギュッと瞑り、痛みが訪れるのを待った。



 だけど、時計の秒針がチッチッと刻を刻む音が聴こえるだけで、一向に痛みは訪れない。あれ……? そう思いながらも恐る恐る片目を薄らと開け、僕は母さんを確認した。



 母さんは、今にも泣きそうな表情で唇を噛みながら、必死に理性を保とうと堪えているように思えた。



 そしてそんな僕と目が合うと、



「ごめんなさい……。ついカッとなっちゃって……。ダメな母親ね」



 母さんはそうボソリと零し、振り上げた手を下ろしたあと、気持ちを落ち着かせるためか深呼吸を繰り返す。



 そしてその間、自身の気持ちを整理しているみたいに、時々、首を横に振ったりしてなにかを必死に考えているようだった──。

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