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-突然の珍客-2P
コンコンッ。
とても心地良い朝の日差しの中、僕の家に意外な人物が訪れた。
「はい、どちら様……?」
時刻は午前八時半頃。母さんは玄関の扉を開け、来客に対応をする。
その声で僕も目を覚まし、着替えを済ませたあと、柱の陰から来客の様子を窺う。
玄関の前にはフードを深々と被った、いかにも怪し気な人物が立っている。
その姿にどこか見覚えが……。だけど寝起きでまだ頭はぼんやりとしていて考えが追いつかない。誰だっけ? 僕は訝しげに首を傾げた。
そんな僕とは対照的に、母さんは驚きつつも、落ち着いて来客に対応する。
微かに聴こえてくる会話から、どうやら怪しげな人物は、教会関係者らしい。
母さんは慎重に手帳型の身分証を確認し、躊躇いながらもその人物を家に招き入れた。
「訪問をすることを事前に伝え忘れていた」
家の中に入るや否や、怪しげな人物は、深々と被っていたフードを脱ぎ払う。
そしてどこか偉そうな態度で、自身のことを『カルマン・ブレッヒェン』と名乗る。その容姿や振る舞いは、間違いなく僕が知っているカルマンだ。
なんでこの人、僕の家に来たの?