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09.5-ギャンブル狂-1P
「そういえばフェルちゃんは?」
こんなに良い香りを漂わせているのに、フェルは僕に怒られるのが解っているのかな? それとも僕に放り捨てられたことを根に持っているのか、なかなかリビングへ降りてこない。
「普段なら、食事の香りがすれば直ぐに降りてくるのに……」
母さんはそんな心配しつつも、料理作りに専念していた。
三十分後──
ようやく食事の準備が整い、母さんは食卓に料理を並べ始める。僕はそれを見て、人数分の食器とカトラリーをテーブルに並べていく。
「うわぁ、豪華だね〜」
僕は、豪華な料理の数々に目をキラキラと輝かせ、ゴクリと唾液を飲み込んで嬉々とする。
「リーウィンちゃんの好きな物ばかり作ったわ! 今日は心行くまで食べてちょうだい!」
母さんは嬉しそうな態度で、「早く席に着きましょう」なんて僕に促す。
バーンッ──