-母の反対-9P
まぁそんなリスクを伴う制度だからか、魂を使用された・されなかった関係なく、毎月三十万セクトという大金があてがわれるんだけど……。
だけど母さんは、そんな大金に目を眩ませるほど最低な人間じゃない。だからこそ、僕自身、どうして魂の使命こん願者になりたいのか、ちゃんと説明する必要がある。
でも、これだ! っていう理由がない。だからどう頑張っても母さんを納得させるなんて無理な話。
僕は顔を伏せ、口をギュッと閉ざし逃げるという一番、最悪な選択をした。
そんな態度を見せても母さんは、
「でも……?」
不安げな声で僕の言葉を待ち続けてくれた。
「どう答えるのが正解か判らない。それに僕の答えは間違っていると思う。だけど、魂の使命こん願者になりたい! そんなばく然とした憧れだけじゃ……ダメかな?」
僕は一度、大きく息を吸い吐き出したあと、震える両手を必死に抑え、不安を抱えながら母さんに聞いた。
だけど、そんな僕の答えを聞いた母さんは、ちゃんとした理由がないなら、ならなくて良いじゃない!? そう言いたげに目を大きく見開き、
「どうして!? どうして解ってくれないの!?」
怒声に近い声を発しながら勢いよく椅子から立ちあがる。
その目は、自身の気持ちが伝わらない苛立ち、それから僕が危険な道を選ぼうとすることへの恐怖や不安を抱えているように思えた。
「えっと……ごめんなさい」