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009-変わった夢-1P
「………………」
母さんとフェルが部屋から出ていったとたん、部屋に静寂が広がり始める。
そんな静寂の中で耳を澄ますと、微かに小鳥たちのさえずりや、風のせせらぎが聴こえてくる。
落ち着くな……。そう感じつつも、僕はもう一度、部屋を見渡す。
誕生日当日となにも変わらない、整理が行き届いた部屋。こじんまりとして、派手さは特にない。
昨日も見たなんの変哲もない場所なのに、ひと月も眠っていたのかと思うと、どこか懐かしい気持ちが湧いてくる。
「あれ?」
ふとテーブルの片隅に視線を向けると、母さんが誕生日にくれた手のひらサイズの小箱が、ひっそりと置いてあった。
また開けなきゃな〜。なんて思いながら、次は時計に目をやる。
僕が起きたのは午後一時頃──それほど時間は経っていないみたい。
「ふわぁ〜」
この部屋が心地よいせいか、一ヶ月も眠っていたはずなのに、まだ寝足りないと言いたげに欠伸が自然と漏れ出る。
そんな睡魔に逆らわず、僕は「お昼寝でもしようかな」なんて布団に潜り込んだ。
ウトウトと眠りにつきかけた頃、僕は奇妙な夢を見始めた──