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-ポンコツとの出会い-13P
フェルは僕の手が届かないところまで、小さな羽を一生懸命バタつかせながら飛び去っていた。
「ほんと、好き勝手しすぎでしょ」
そうポツリと呟く僕に、
「まぁまぁ〜! 好きにさせても問題がないなら、良いんじゃないかしら?」
母さんは、魂を守護するモノとの関係性を理解していないのか、楽観的な口振りで、僕を慰めようとする。
「うん……。そうだね……」
僕は、煮え切らない気持ちを抑えながら、そう無難に言葉を返した。
「──あっ、そうだわ! フェルちゃんが戻ってくる前に、ご飯の支度でもしましょうか!」
少しの沈黙のあと母さんは、ハッとした表情でそう言い、とても張り切った様子で部屋を出ようとする。
「あまり無理しないでね」
僕は、そんな母さんの目の下にある隈を見て苦笑する。
「無理なんてしないわよ〜! 誕生日の仕切り直しと、フェルちゃんの命名記念日をしましょうね!」
だけど母さんは、上機嫌で満面な笑みを見せたあと、鼻歌を唄いながらリビングへと向かっていった。