-ポンコツとの出会い-10P
僕はもうなんの案もでてこない……。どうしよ……はぁ──。
でもこの毛玉のことだ。考える素振りを見せておかないと、どこかに行きそうだし……。そう思いながら僕は、母さんをチラリと横目で捕え、助けを求めた。
「そうね〜。この子の第一印象は、なんだったの?」
それに気づいた母さんは、すかさずフォローを入れる。
「う〜〜ん……。昔話にでてくる、悪魔みたいだな。って思ったかな?」
実際のところ、カルマンのようにしか見えない。だけど、いくらカルマンに似ているとはいえ、魂を守護するモノに『カルマン』なんてつけたくない! それは僕が断固拒否する!
「悪魔ねぇ〜。う〜ん……そうね〜。あっ! ならヘルはどうかしら?」
「……フェル?」
「それで決定ガウ! オレサマ、それが気に入ったガウ!」
僕は、母さんが言った〔ヘル〕を『フェル』と聞き間違え、口にだした瞬間、毛玉は嬉しそうに、尻尾をピンと立て、「それがいいガウ!」と即答した。
「まぁ、フェルちゃん! 可愛らしい名前ね! フェルちゃん、改めてよろしくね♪」
母さんは、両手をパチンッと合わせて嬉しそうな顔で、黒い毛玉──